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ピピ――ッ!
ホイッスルの大きな音。それを合図に、4面あるコートで一斉に試合が始まった。
ダンダンと床を走る足音が響く。点が入るたびにキャーッと黄色い声が飛ぶ。うおおっと天井に反響する声援、自然に沸き上がる拍手、へたくそ~! と叫ぶ野次…。若いエネルギーが一気に体育館に溢れ出す。
は〜っ。なんか、すごい熱気だな~。ちょっと耳が痛いし…。テンション高…。
見回すと、皆立ち上がって手を振ったり拳を振り上げたりだ。
東雲はしばらく試合を観戦していたが、井藤に断って、一旦席を離れた。一階に降りて、自動販売機でミネラルウォーターを買う。
なんか…喉が渇く。皆、すごいな、あんな大声で…。
一気に飲んだ水が冷たくて、東雲はちょっと喉が痛かった。
ワー! と、一際高い歓声が上がる。気になった東雲は、人の群がる一階の出入り口の隙間から、コートを覗いた。
あ、あれは…西門だ!
目に飛び込んできた、背の高いツンツン頭。
「ちょ、ちょっとすみません」
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