18人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっと…」
タイムの間に、彼は2階の席に戻った。遠くからの観戦は迫力は劣るものの、全体が見渡せて試合の流れがよくわかる。
ゴールの半分ぐらいは西門だが、他の選手も活躍している。特に栗栖と西門のパスは絶妙で、殆ど目線を合わさなくともお互いのボールを外すことがない。
あの二人、すごい息が合ってる。あ、宇野も…。
相手側のボールを奪ってすかさず西門へ回した細い宇野の姿。威勢よくカットに飛び込んだスピードが半端ない。いつもは気が弱そうな八眉の宇野だが、今は眉が上がっていた。
へえ、結構やるなぁ…。きっと小さい頃から培って来たリズムなんだな。いいなぁ、そういう友達が居るのって…。西門と居たら、きっとすごく力が出そうな気がするな…。
東雲はふと、自分の幼い頃を思い出しそうになった。
誰か…友達いたっけかな…。
ケイ! 栗栖! ファイト! ケイ! ファイト! 栗栖、ケイ。続いていく掛け声。
「…ケイって?」
「圭一のケイ、西門のことや!」
井藤が声援に負けじとして叫んで教えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!