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東雲は面食らった。ファンクラブがあるとは聞いていたが本当だとは思わなかったのだ。
すっごいファンコール…。耳、痛…。
「来んで~来んで~。東雲、ウェーブやで!」
「ウェーブ?」
右を見ると確かに、一列ずつ手を上げ立ち上がる仕草が近づいてくる。
え? マジ? プロサッカーのTV中継でなら見た事あるけど…。これ、高校生の、しかも練習試合だよね?
ここでは本当に何もかもが東雲の予想範疇を超えている。
ま~それはそれで面白いけど…。
「行くで~!」
東雲も井藤と阿部と一緒に咄嗟に手を上げ立ち上がった。
ええっと。これでいいのかな。ええい! やるしかない!
ぎこちなく両手を上げてウェーブの一部になる。
何だが、俺、O阪の人間になってる…。
学校、図書館、塾、家、模試会場、本屋、コンビニ…そのテリトリーの中で自分の高校3年間は終わると思っていた。
なのに。…こんなに楽しいなんて。
それが意外で少し可笑しくて、東雲の顔がくしゃくしゃっと笑った。
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