第7話 女嫌い's転校生in黄色い声s練習試合

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「ねえ、ちょっと…」  その時、誰かが何かを呟き、バスの中がざわざわとざわめいた。 「マジか?」  そんな声に釣られて、東雲も周囲の視線を追った。バスの後ろの座席を通り越して窓の外、ずっと遠く…。 「うりゃあああああ…! ちょい! そのバス、待ってーなーッ!!」  走るバスの後ろを猛スピードで追っかけてくる一台の自転車。 「へっ!?」  東雲は顎がガクン、と落ちるほどの勢いで動きを止めた。  西門…?! 何やってんだ…!  前のめりになって自転車に乗った白いシャツ姿。必死の形相。そんな姿が目に焼き付く。 「あれ、西門やん? 波花のエースの」 「何で追っかけてんのやろ」 「運転手さん! 気がついとる?」 「運転手さーん。チョーっと止めたってー」  誰か叫び声に気が付いて、慌てて東雲は叫んだ。 「お、降ります! 次、降ります!!」  ええと! 停車ボタンはどこだったけ! 早く押さないと…! 西門が遠くなる…!  焦りながら辺りを見回したものの、満員のバスの中では人の姿に隠れてボタンが見えない。 「兄ちゃん、次降りるんやろ?ピンポン押したろか?」  そんな声と共に音がする。
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