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「ケイー。どしたん、帰るトコなん? よかったら一緒に帰れへん?」
目いっぱいハートを飛ばして西門の前に飛び出していく女子が3人。
マジありえねー! こいつら! ぶっ〇したい!
東雲の脳裏に生まれて初めてそんな単語が浮かんだかもしれない。
対する西門は単純なものだ。額の汗を手で拭いてニカッと笑う。
「おー。自分らも乗っとったんかいなー」
そう声をかけたものの、視線は彼女たちのずっと後ろに飛んだ。そして、まだバスの中にいる東雲に向かって両手を大きく振る。
「東雲ー。一緒に帰ろー」
おーっと抑えたどよめきと、クスクスっと笑いが上がる。
満面の笑顔で何言ってんだよ…。これじゃ、ますます注目の的だ。
恥ずかしくて、何だか照れくさくて東雲の顔が夕日に染まる。彼は慌ててバスから降り立った。
「ほなな、自分らも気ィつけて帰りや~」
自転車を引いて東雲の側に寄って来ると、西門は女子たちにバイバイ、と手を振った。
「ふん!」
東雲を一度睨みつけて、女子たちは足音も高くバスの中に帰っていった。その途端、バスはドアを閉めてさっさと停留所から離れていった。
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