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東雲はぐっと手を掴まれた。西門はそのまま廊下に飛び出す。と、走り出した。
「ちゃんとついてきぃや!」
「ええ~ッ! ど、どこへ!」
チョー早い! 早い! 早い! なんだよ! こんなの追いつけっこない…! 手が痛いって…! 足が…!
なかば引きずられるようにして東雲も必死で走った。階段を降り渡り廊下を抜ける。ドカドカドカドカ。大きな足音が響く。
「どいてや~!!」
「うわ! 誰や!」
「危ない! つーか、ずるいぞっ!」
食堂に近づくにつれ走っている連中が周りに一杯だ。周りのブーイングを尻目に西門はどんどんそれを追い抜いていく。食堂に飛び込んだと同時に二人は奥のカウンターまで走り込んだ。
「やりい! ラストのスペシャル、GETや!」
ひとつ残ったトレイを高々と持ち上げる。あ~、やられた! と後ろから複数の声が上がる。同時に東雲はその場にしゃがみ込んだ。息は絶え絶えだ。
なんだ、これ~! く、苦しい…。い、息が…!
「ハァハァハァ…」
「はい。お疲れ。わいは席、取っとくわ!」
そんな東雲に屈み込んでトレーを渡し、西門はさっとその場を離れていった。
信じられない…。なんなんだ、アイツ!
東雲はしばらくしてから、這うようにして近くの席に座り込んだ。
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