25人が本棚に入れています
本棚に追加
また楽しみがひとつ増えた。西門と行く〇将。きっと楽しいだろうな。
ふと、東雲はそんなことを考えていた。
「あ、ところで話が変わるんだけど…あのさ!」
風に負けないようにして、少し屈みこんで東雲が叫んだ。
「なんやー」
「君、大学はどこいくの?!」
自転車は前の信号が赤なのを気が付いた西門がスピードを緩め、少し蛇行した。
「大学~?」
「うん! スカウト来てたよね?」
バスケットの強豪大学なんてもちろん東雲は知らない。だからそれがどこでも東雲には一緒だ。
「そんなん行けへん」
すーっと横断歩道に近寄ると自転車は止まった。けれど西門が足をふんばって支えているから東雲が乗ったままでも安定している。周りの大人たちの視線が気になりはしたが、東雲は自転車から降りなかった。降りたらもう一度乗れる自信がない。
きっぱりとした声が聞こえた。
「わいはNBAへ行くんや」
最初のコメントを投稿しよう!