第8話 味オンチ's転校生inO阪CM旨いモン

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第8話 味オンチ's転校生inO阪CM旨いモン

  「おーい! 東雲、来てるかー!」  教室に飛び込んできた西門がそう叫んだ。制服のネクタイを引っ掛けたままだ。朝練が終わってすぐ。 「知らんな~。来とんか~?」 「けど、カバンあんで」 「さっき、トイレ辺りでおったなー」  誰彼ともなく声が上がる。 「よっしゃ! トイレやな!」  西門は身を翻して駆けだした。全身が浮足立って跳ねんばかりの勢いだ。飛ぶように大きなガタイが廊下を駆け抜けていく。  あーもう、東雲の奴、どこにおんねん。こんな大事な時に~! おった!  トイレ前で誰かと話している後ろ姿を見間違えるわけがない。 「お~い! 東雲~っ。ちょいゴメン」  細い身体と茶色がかかった長めの髪。少し驚いたように振り返った相手の腕を浚う。西門はその勢いのまま階段の踊り場まで走った。 「ちょっと…ちょ! 西門!」  いきなり一緒に走る羽目になった東雲は目を白黒させている。その様が何だか可愛らしくて西門は笑った。 「驚かしてゴメンやで。でもな、あのな、実はもっと驚くことがあんねん!」
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