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休み時間、佐々木が席を外した隙に、すっかり以前のようにそこに陣取った西門が東雲の顔を覗き込んだ。
「明日は模試。駅前の予備校に夕方まで居るよ」
あ~、この間の練習試合の時にサボったっちゅ~やっちゃな。頑張るなあ、さすが学年1の賢コやわ。けど、ほな、ガッコの近くにおるわけやな? よっしゃ!
東雲はため息をついたのに、西門の表情はパッと明るくなった。
「4時頃終わるんか? じゃな、ガッコ寄って、一緒に帰ろ。な? なー」
「え? ああ、西門は練習なんだ。なんでわざわざ?」
駅から高校までは徒歩で15分というところだろうか。
「実はな、オカンが来るんや。ほら、例のアメリカのガッコのこと、太田センセと相談するんや」
上機嫌な西門の顔。東雲は持ったシャープペンをくるりと回した。
「ああ、そうなんだ…。いいよ。この間のお礼も言いたいし…。」
「そんなんエエねん。でも、ちょっとエエことあるからな」
「エエこと? 何それ」
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