第1話 東京's転校生 in O阪'sど真ん中

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  「どしたんや、自分。ジャマやで」 「おっと、蹴りそうやったわ」  後からぞろぞろとやってきた連中に弾き飛ばされたのだ。なかなか息が整わず肩を上下させていた東雲のポケットで携帯が鳴った。西門からのラインだ。 『席は真ん中あたり。わいは弁当。皆に持って来てもろたから先に食ってるで。金払ろたら()いや~』 「……」  も~何なんだ! この関西人の強引さは!  東雲は思いっきり脱力していた。その後、彼はふらふらと立ち上がると取りあえず支払いを済ませた。振り返るとすでに食堂は黒山の人だかりでわいわいと騒がしいことこの上ない。当然、西門の姿など見えない。  もういいや、適当なところで食べよう…。  滅多にない全力疾走。途方にくれた東雲は気力も食欲も尽き果てていた。  今日の教訓①  関西では「(わら)かしてなんぼ」=「笑いをとることは、もっとも価値がある」らしい。
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