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実はオカンに差し入れ頼んであるんや。言うてしもたらおもろないやん。東雲はO阪の喰いモン何も知らんから、きっと喜ぶで~。
「楽しみにしとってな~」
チャイムが鳴った。慌てて帰ってきた佐々木に追い出されて、西門は手を振りながら窓際の席に戻っていった。
あ~、今日の練習もおもろかったな。ゴールもバンバン決まるし、ホンマ絶好調やで!
練習終わりの柔軟体操で脇を伸ばしていた西門は、斜めになった視界に待っていた姿を見つけた。開け放った体育館の入り口に現れた、大きな荷物を持った細い人影。黒っぽいスーツの女の人だ。
あ! オカンや! やったで! 待ってました~。
西門だけではなく、目ざとい周りの連中が声を上げる。腰を曲げながら顔だけは同じ方向を向いている。
「西門のオカンや」
「何、持っとん?」
「保冷バッグやな…。ということは…」
「あれか!」
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