第8話 味オンチ's転校生inO阪CM旨いモン

7/12
前へ
/230ページ
次へ
 うわ~っ! と歓声が上がった。皆が口々にわいわい言いながら、いっせいに西門の母親に向かって走って行く。その声が、模試が終わって体育館に向かっていた東雲の耳にも届いていた。  バスケ部の連中が体育館の隅のベンチに集まった。どん、と重そうな保冷バックを床に置いて、西門母が胸を張った。 「圭、リクエスト、持ってきたで」 「おお~、オカン、ありがとうさん!」 「お! 東雲ー! こっちこっち!」  宇野が大きく手を振って、体育館を覗いた東雲を呼んだ。   お、東雲も来たんやな! 間に()合うてよかったわ! はよう来~や!  西門も手を振って、東雲に来るように合図した。その間も、皆がわっと白い保冷バッグに群がっている。  東雲は小走りに駆け寄ってくると、西門母に横から声をかけた。 「あ、あの、この間はありがとうございま…」  そんな東雲の言葉を遮って、西門の大きな手が保冷バックの中をごそごそとかき回した。 「そんなんより、東雲、何にする? ミルクか? チョコか?」 「アズキもイケんでー」
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加