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「俺のイチオシはパインや!」
「いやいや、フルーツがええって!」
相変わらず自己主張の強い連中の声が重なる。体育館に反響して、なお騒がしい。
東雲が面食らっていると、西門がずらっと6種類の色のアイスキャンデーを両手に扇のように広げた。
「ほれ! ○莱のアイスやでー! どれも旨いでー!」
O阪の夏ちゅうたらコレや! 練習の後もやっぱ、旨いわ~!
保冷バッグの中の紙箱には、色とりどりのアイスキャンデーがいっぱい詰まっている。
「…ちょっとエエもんって…これ?」
目の前に寄せられて、東雲は目を瞬かせた。周りではアイスキャンデーに齧りついた部員たちが声を上げる。
「旨いな~。練習の後はこれに限るな!」
「西門のオカン、気前ええなー」
「ホンマ。男前っ!」
「アホばっか言うてんと、さっさと食べ〜な」
東雲にも促しながら、西門の母親はケラケラ笑っている。
「西門と同じ笑い方…。あ、いえ。いただきます…」
頭を下げてから、東雲は一番近くにあるアズキのアイスキャンデーを一本取った。
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