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「何、しげしげ見てんの?」
白いアイスを咥えた西門。汗が噴き出したのか、肩にかけたタオルで顔を拭く。
「いや、今時珍しいシンプルなアイスだなって…」
「東雲はアイスは食わんのか?」
「そんなことないよ。ただ、こういうの久しぶりで…」
へ~。東雲の家ではどんなアイス食うん? いちいち皿に盛ってとか? やっぱアイスは手で持って、こうガブっと齧るんが一番やで!
あ、そや。やっぱ、あれをせな! あれを!
歯を立てようとしていた東雲のすぐ横で、いきなり西門が大声で叫んだ
。
「あるときー!!」
それを合図に一斉に皆が縦に揺れるような笑い声を立てた。
「あーははっは!」
東雲は驚いて、思わず動きを止めた。
「ない時ー」
今度は小さな声で栗栖が言う。
「しょぼーん」
また、皆が同じ仕草で下を向いた。
「ある時――!!!」
「あーははっは!」
「ない時ー」
「しょぼーん」
「ある時――!!!」
「あーははっは!」
「…って、いつまでさせんね〜ん!」
宇野が隣にいる栗栖の胸を右手でペンっと叩いた。
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