第9話 定価買い's転校生㏌O阪お買い物

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 慣れたようでなかなか慣れない東雲は大きくため息をついたが、本題に戻って慌てて手を振った。 「いえ、あの…」  理由もなく人様からごちそうになるわけにはいかないよ。そうでなくてもタコパでお世話になったのに…。  そう顔に書いている態度の東雲にヒョウ柄母さんはバンと勢いよく西門の肩を叩いた。 「実はな、こないだの圭のテスト、初めて数学が赤点ちゃうかってん! ほんでな、この子に聞いたら、しの…君のおかげやてゆうやん! だから、遠慮はいらんで! このアホ、よう教えてくれてありがとうな!」 「へえ、やったやん! 西門」 「東雲、ある意味凄いな。天才やわ!」 「ホレはおごってもらえるヤツやで!」  周りの連中が笑いながら東雲の努力と西門の快挙に声を上げる。西門が胸を張ってそれに応えた。 「あははー。わいもやればできるっーちゅーこっちゃ!」  なに、当選した議員みたいに両手で周りにアピールしてるんだよ。  東雲は西門の後ろ姿に呆れながらぎりぎりで赤点を逃れた答案用紙を思い出していた。
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