第9話 定価買い's転校生㏌O阪お買い物

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 そう理解した東雲は知らない言語の国に一瞬ワープしたような混乱から立ち直った。  まだまだ2人の電卓叩き攻防戦が続いている。だが、何度目かに、西門母が大きく頷いて顔を上げた。 「ほな、こんで貰うわ。兄ちゃん、よ〜け勉強してくれはっておゝきに。ありがと〜な。お疲れさん!」  労いの言葉と共にバンバンと背中を叩かれたカエル店員の泣き笑いの表情。  対照的に気持ちよさそうに大きく開いて笑う彼女の口元から西門と同じ八重歯が見えた。  あ〜、この母あっての西門の笑顔なんだな〜。 「二人とも、お待たせやで」  車に乗り、窓を開けて煙草に火をつけながら西門母がバックミラー越しに声をかけた。 「あ、いえ」 「おなか空いたやろ」 「空いた空いた! はよ、行こ行こ!」  ワゴン車の床を踏んで訴えた西門に母は首を振った。 「あんたに聞いてないっちゅーねん。しの…君や!」  いえ、俺は別の意味でどっと疲れました…。O阪って…。買い物ひとつ、大変だ。
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