第9話 定価買い's転校生㏌O阪お買い物

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 自分が値切られた店員でもないのに、東雲は受けた衝撃にすっかり食欲をなくしていた。  次に三人がやってきたのは家族連れや学生や労働者風な客で溢れ活気に満ちた中華料理店だった。香ばしい匂いや甘い油の匂い、威勢のいい店員の“らっしゃい!”に迎えられ、3人は奥の座敷の大きなテーブル席に腰を据えた。雰囲気はファミレスのようだ。  大きな写真だな、しかもメニューがいっぱいだ…。  メニューには餃子やラーメンのデカデカとした写真。その上にこれまた派手なポップが“お勧め!”を強調している。セットも多く細かな説明も多い。真面目にそれらに目を通していた東雲に、いきなり西門が問うた。 「チャーハン好きか?」  思わず、うんと答えると西門は手を上げて、エプロン姿の若い女の子を呼び止めた。 「ネーチャンええか?」  ねーちゃんって…それは失礼だろ。  彼女は気を悪くした様子もなく、さっとハンディ機を構えると注文を取る姿勢に入った。 「とりあえず餃子10人前な」  じゅ…10人前? マジ? 俺たち3人だけど…。
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