第9話 定価買い's転校生㏌O阪お買い物

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「東雲、唐揚げ揚げたてやで、食べ~」 「東雲、ラーメン分けたるわ。酢豚は?」 「東雲、旨いやろー?」  口いっぱいに頬張りながらも西門は自分のオススメをどんどんと東雲の皿に取り分けていく。楽しくて嬉しくてたまらないような顔。それが不思議と東雲にも移って行く。  西門の笑顔、ホントにいいな…。楽しさがにじみ出てて。  思わず東雲も笑ってしまう。 「うん、すごく美味しいよ」  お世辞でも遠慮でもなく東雲は心からそう答えた。  やがて、小一時間ほどして彼らは店から出て駐車場に向かった。 「は~。食った食った」  歩きながら西門が胃の辺りを撫でた。 「旨かったやろ~、東雲」 「う、うん。すごく食べたよ。こんなの久しぶり」  けど、西門の食べるの早すぎ…。食べ過ぎた。ちょっと重い…。  東雲は西門とは別の意味で胃の辺りを押さえた。 「美味しかったです。ごちそうさまでした」  黒い鰐皮の財布をしまいながら車に向かったヒョウ柄母さんに頭を下げる。 「あんでイケたん? しのくん、あんた食細いねんなあ」
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