第9話 定価買い's転校生㏌O阪お買い物

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 西門母は小分けした皿がなかなか減らないのを気にしてくれたらしい。 「いやいやいやいや、普通です。帰宅部なんで…」  大体、西門や周りの連中の食べっぷりがすごいだけだから。やっぱりスポーツできる連中は身体の造りが違うよな~。 「ほな、オカン。東雲、近くの駅までちゃーっと送ってやって~な」 「ちょい待ちぃ。店に寄ってくさかい」  ん? 店? そう言えば西門のお母さんって何をしている人なんだろう。  どこか正体不明なイメージのヒョウ柄母さんの仕事風景を想像して、東雲は後部座席で首を傾げた。  しばらくして車はそこそこ大きな交差点の四つ角近くの歩道に乗り上げた。  うわ、大きな看板…「ヘアサロン サイモン」って。それにしても…。  東雲は目を白黒させて上を見上げた。  白い看板に黒くはっきりと書かれた文字の枠は、まさにヒョウ柄。そして何故か周りを埋めた電球がチカチカと点滅を繰り返している。道路に面した壁は一面ガラス張りで、中の様子が丸見えだ。  なんか…すごい賑やかな感じ…。
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