第9話 定価買い's転校生㏌O阪お買い物

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「ほら、新聞とかにパーマ屋のチラシが挟まってるやろ? その写真のモデルになって~な、ってこっちゃ」  ハンドルを握りながらヒョウ柄母さんが更に言い募る。 「しのくんなら十分イケるわ。ちょっとボーイッシュな女の子ってコトでもイケそうやもんな。髪もサラッサラッでツヤッツヤッでキレイやし茶髪やし。腕が鳴るわ」 「ホンマや! わいも手伝うで! シャンプーとか!」  何故か身を乗り出してアピールする西門。 「いや、それはちょっと…」  西門のヤツ、なんで目をキラキラさせてんだよ~。も~!  東雲は片頬を引きつらせ、伸びてくる西門の手をやんわりと振り払った。  そのまま最寄りの駅まで送ってもらって東雲は帰途についた。 “王〇、旨くて楽しかったやろ~。また、行こな~”  さっき別れたばかりなのにな…。  夜道で光る携帯電話に目を落とす。練習に明け暮れる西門からのラ〇ンは、おはようやお休みなどの簡単な挨拶が多かった。  いつも真っ暗なマンションの窓に灯りが点いていた。
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