第10話 心配性's転校生in噂's D組

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 アメリカでも受け狙いか…。まあ、O阪人らしいけど。それより、ムードメーカーの西門がいなくなったら寂しくなるな…。  東雲は西門の忙しく動く口や目や手を眺めながらそんなことを思った。 「わいがおらんようになったら、ごーっつい寂しいやろ、な、東雲」  視線に気が付いたのか西門がまた彼の表情を覗き込んでくる。  何だよ。人の気持ち、読むなよ、もう。そりゃそうに決まってるだろ。こんなにやかましいんだから。 「まあ、静かだろうね」  目を逸らした東雲に西門は片手を振った。 「またまた。ラ〇ンしたるからな。おやすみとかおはようとか、いろいろ。待っとってな~」  いや、だから時差が…。まあいいか。一ヶ月ぐらいだし。  どこか浮足だっている西門を眺め、東雲はそう思った。  明けた次の月曜日。いつものように門を抜け教室へ向かう。ドアをくぐろうとして、東雲はいきなり肘を引っ張られた。 「え? おはよ」 「おはよ、やないって。東雲、ちょっとええか?」  井藤だった。東雲はふと眉を寄せた。
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