第10話 心配性's転校生in噂's D組

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「わからん。〇インも既読にならへんし、電話にも出ーへんから」  東雲はハッと気が付いてスマホを取り出し、地方のニュースをスワイプする。“トラック、美容室に突っ込む”とすぐに大きなタイトルがでかでかと映った。  うわ…ひど…。店、こんなに壊れて…。  胸がドキドキ痛い。古びたトラックの後ろ姿と覚えのある看板が砕け落ちている。ガラスの壁には大穴が開き、原形を留めていない。 “店長の西門佐紀(40)さん、骨折の重傷”  ヒョウ柄母さん、案外若い…。客やアシスタントの女の子は軽傷だったんだ…。  命に別状はないと書かれた文字に、東雲は胸を手の平で撫で下ろした。 「俺、西門に電話してみる」 「うん、俺らもガンガンしてるけど繋がれへんねん」  後ろからそう言ったのは宇野だ。いつの間にか辺りに人が集まっていた。狭い廊下の半分を塞いでいる。背の高い栗栖が少し屈んで肩を竦めため息をついた。
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