第10話 心配性's転校生in噂's D組

6/15
前へ
/282ページ
次へ
「俺、今朝、ガッコ来る時に寄ったんやけどすごい残骸やったで。西門のオカンは救急車で運ばれたらしいな。あいつ付き添っとんかもしれんな~」 「あいつんち、オトン()居れへんしな」  幼馴染の栗栖や宇野のトコにも連絡ないなんて…。  東雲の胸の辺りがキュッとなった。 「なあ、バスケ留学、どうなるんやろ」  皆が、あ、と口をそろえて一旦声を上げて、黙った。もう2週間先に迫っている。その時、階段を二つ飛ばしで駆け上がってくる大きな足音が聞こえた。 「おー! 皆、おはよーさん!」  いつもの大声。廊下の向うから手を天井に付けんばかりに振りながら駆け寄ってくる姿。 「西門!」  東雲が人だかりを抜けて駆け出した。  何やってんだよ、どうしたんだよ!  いつものように笑っている西門の顔。何だかそれがすごく悲しいような嬉しいような。西門のいつもの様子に胸が詰まった。 「西門、大丈夫やったんか?」 「大変やったな~」 「イケんのか? オカンも店も」  駆けよった皆の声に西門は身振り手振りで熱弁をふるった。
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加