第10話 心配性's転校生in噂's D組

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「あー、ありがと! もーホンマ、大変なんよ。オカンは商売道具の右手折るし、足も折って歩けんのに口だけは相変わらず元気でな、わいのことめちゃめちゃコキ使うんや!」  そんなこと言ってる場合じゃ…。  東雲がそう言おうとした時にチャイムが鳴り始める。廊下の向うにバスケ部顧問の太田が現れたのに気付いて、東雲は言葉を切った。  太田先生…いつもと違って、すごく真面目な顔してる…。 「おい、西門。えらい災難やったな。ちょっと職員室へ来いや」 「へいへい。ホンマ大変なんよ~。聞いて~な~。センセ」  背の高い西門の身体が丸っこい太田と一緒に廊下の向うへ消え、西門は授業には帰ってこなかった。  昼休みに耳ざとい井藤が東雲に情報を流してくれた。 「顧問の太田センセと担任の真鍋っちが見舞い兼ねて西門のオカントコ行ったらしいわ」 「バスケ留学、延期するんちゃうかな」  ため息がてらに宇野が呟く。井藤が相づちを打った。
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