第10話 心配性's転校生in噂's D組

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「実はめっちゃ金掛かるんやろ、あーいうの。西門のオカン、気前ええオトコ前やけど店直さなあかんわなー、先に」  窓際の席は、いつの間にか溜まり場になっている。まだ梅雨が開けきらない。今は雨は降っていないものの窓から続く空もどんよりと暗い。 「保険や慰謝料はどないなんの? 相手のトラックは?」 「なんか零細企業の爺サンらしいで。まぁ大金は出んやろな~」  自分の机の周りで交わされる会話に、東雲の気持ちは重かった。  そんな…。あんなに練習して掴んだチャンスなのに。あんなに西門は喜んでたのに…。本場のバスケに触れられるってあんなに…。なんだろ、胃の辺りすごく重くて苦しい…。  東雲はそっと胸を押さえた。  西門と話がしたい。西門に会いたい。でも…きっといろいろ忙しいんだろうな…。  東雲はさんざん考えた挙句、西門とのライ〇に一文を書き込んだ。  “いろいろ大変だろうね。少し落ち着いたら話をしようよ” 
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