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「ほなな~」
離した右手を高く上げる。ダダダッ…。西門は教室から走って消えた。
なんか…慌ただしいなあ…。
あっという間に消えた西門のデカい足音。
あ、俺も何か、転校の書類を取りに行かなくっちゃ…。
東雲はカバンを取ると職員室へ向かった。
この学校、ホントに広いな~。
東雲は、帰る前にしばらく校内を歩いてみた。体育館や校舎の位置は分かっても、ごちゃごちゃした建物が何なのかよくわからない。
やっぱり明日、昼休みにでも案内してもらおう…。西門の好意に甘えてもいいかなぁ…。
部活動が盛んな学校らしく、放課後のグラウンドはいろんな声や音でかなり賑やかだ。
校舎の前にあるコンクリートの広場ではヒップポップを踊る連中。遠いどこからかトランペットや太鼓の音もする。
そういえば、スポーツ推薦が多いって言ってたもんな。
東雲は体育館の前で足を止め、中を覗き込んだ。
「…バスケ部?」
バスケットボールの弾む音。ひときわ、動きの速い背の高い選手の姿が目に飛び込んできた。休憩のホイッスルが鳴り、生徒達はコートに座り込んだり、壁の方へ散った。動きを止めた先ほどの選手がこちらを振り返り、目が合った。
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