第10話 心配性's転校生in噂's D組

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「お~、東雲。待っててくれたんか? 悪い悪い! 何か、ちょっと間が空いただけで身体の調子が違うわ」 「そうなんだ」  いつものように自転車を引きながら東雲は西門の隣に並んだ。  なんて切り出そう…。やきもきしながら待ったのに…いざとなると聞きづらいな…。  ちょっと俯いて口ごもった東雲は自分のローファーの足先を見つめた。 「あのさ…西門。バスケ留学って…」 「ん? ああ、あれは延期になったんや」  響いた西門の声は結構明るい。 「…やっぱり…」  店を直す費用が要るって誰か言ってたもんな…。でも…。あんなに楽しみにしていたのに…。せっかくのチャンスだったのに…。  東雲は顔が上げられなかった。回る車輪に合わせて歩く。  何だか西門の顔を見るのが辛い。無理した顔も引きつった顔も見たくない。 「そうなんだ…。残念だったね…。…悔しいね…」  ため息交じりの小さな声。東雲の言葉は酷く悲しそうに聞こえた。 「わいはいっこも(くや)しないで」  あっけらかんとした西門の声が返ってきた。
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