第10話 心配性's転校生in噂's D組

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 何だよ。何だかカッコいいじゃん。今、胸にジンってきたよ。でもさ…。さすが、西門だよ。ホント、口には出さないけどさ、そう思うよ。あんな高い葉っぱまで手が届くんだ。やっぱりすごいな、西門のジャンプは。  自然と東雲の頬が緩みまぶたが熱を持った。 「…そうなんだ」  自転車を止めたまま東雲も少し笑った。ホッと息をつく。  よかった…。西門の辛そうな顔、ホントに…見たくなかったから。 「東雲、もしかして心配してくれたん?」  ちょっとむっとして東雲は顔をあげた。 「当たり前だろ! お母さんのお見舞いも行けてないし…」  俺、そんな薄情な人間じゃないぞ! ん? あれ? でも、こんなの初めてだからよくわからないな…。  東雲はちょっと視線を逸らした。 「そっか~。ありがとな~。オカンは頭打ったから念のため入院してるけど、すぐぱっぱと()ぉり出されると思うわ。骨以外チョー元気やから。それからでエエで」  ああ、そうなんだ。それは何より。ヒョウ柄母さんの弱ってる姿なんて想像したくもないや。
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