第10話 心配性's転校生in噂's D組

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「…な~、見てみ~」 「え?」  東雲は意味が分からず隣の西門を見上げた。西門も同じように空を見上げていた。いつの間にか、すっかり暮れた夏の空に淡い星が浮かんでいる。 「星がいっぱいやで」 「え? あ?」  2人は並んで空を見上げていた。高いポプラの葉が揺れる。その遥か彼方。 「よう光る星があんなあ」 「白鳥座のスピカだね。…春から夏の星座だよ」 「そっか~。東雲は何でもよう知っとるな~」 「…そんなことは…」  晴れ渡った空が遠い。手が届かないほど、遠くなってしまった西門のチャンス。 「…でも、やっぱり俺は悔しいよ…」  思わず本音が東雲の口から零れ落ちた。と、同時に下を向いた西門もまた、思ったことを口にした。 「東雲の頬っぺた、八百屋のいっちゃん高いトコに並んでる上等な桃みたいやな! スベスベやん!」 「え?」 「お?」  あはは、と西門の笑い声と、なんだよそれ~! と東雲のブーイングがまた同時に響いた。西門はスキップしながら夜道を駆け出した。
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