第11話 意味不明's転校生in謎の3人組

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第11話 意味不明's転校生in謎の3人組

 次の週は何事もなかったように始まった。もう今月の終わりには夏休みが始まる。  朝の光がすでに高い。いつものようにバスケ部の朝練を終えた西門は少し早めに教室に向かった。  お! 東雲や! おはよ~。  階段を一つ飛ばしで上がってきた西門は、踊り場にいる人影に気が付いた。声を掛けようとして、東雲の横に誰かが居ることに気付いた。背は違うがわりとよく似た細い体形の二人。  誰や? ありゃ、仙頭やん。  目を細めて、西門は階段の柵の間から上の方をうかがった。  いつだったか、学年一位を取った東雲に勝負を挑んできた隣のクラスの秀才だ。ひょろりと背と顔が長く、西門によると“マッチ棒の先みたいな髪型”だ。  なんや、また文句言いに来たんかいな。しゃ~ないやっちゃな~。  足を向けようとして、ふと西門は気が付いた。二人の雰囲気が険悪ではなかったのだ。  あれ? 笑ろとる。…楽しそうやん。仲よさそうや。  不思議と二人の空気は穏やかで話が弾んでいるようだ。東雲が手にした分厚い本を仙頭が覗き込んで話に相槌を打っている。  声を掛けようとしたものの、なぜか西門はその場でくるりと身体の方向を変えた。
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