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いや、東雲が賢コと友達になることはエエこっちゃ。仙頭も悪い奴やない。ちょい、鼻高なだけで…。ま~ええわ。そのうち話してくれるやろ。
気になることがあると黙っていられない西門には珍しく、くるりと踵を返すと階段の下へ遠く飛び降りた。
それから数日後の放課後、西門はバスケの練習の休憩時間に体育館の外の手洗い場で顔を洗っていた。体育館からコンクリートの階段を三段ほど降りるとタイル作りの手洗い場がありその向こうはグラウンドだ。大会の近い今は野球部やサッカー部も陸上部も熱の入った練習中でいろんな声が飛び交っている。
ふと、隣で顔を拭いていた栗栖が気の抜けた声を上げた。
「あれ? おい、ケイ。…あれ、東雲ちゃうか?」
「おお、せやな」
答えたのは宇野だ。西門も蛇口を開けたまま濡れた顔を上げた。
「…なにしてんや、あいつ…」
西門は見えた光景が意外すぎて目が点になりそうだった。
東雲…。なんでグランド走ってるんや? しかも…誰や? 一緒に居んの。
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