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「…そりゃまあ、ええこっちゃ。けど、ちゃんと水分補給しとるか? わいも一緒に走ったろか?」
思わず自分の飲みかけのポカ〇スエットを手渡す。東雲はようやく身を起こすと、一口それを飲み込みんだ。
「ありがとう。でも、西門じゃ早すぎるよ」
「お~い! 東雲~。行くで~」
かなり先から仙頭が振り返って叫んだ。
「じゃ、西門。また後で」
ちょっと困ったような表情で東雲がペットボトルを返した。西門は受け取った手を大きく振った。
「おう! 一緒に帰ろな!」
東雲は細っこいからな~。ツレはともかく運動するんはエエこっちゃ。
うんうんと頷きながら西門はヨロヨロとした後ろ姿を見送った。
夕暮れには、たわいのない話をしながら二人して駅まで帰る。朝夕の短いライン。時おり一緒に昼食をとって、またどうでもいい話で盛り上がる。そんな日々は変わらない。西門のアメリカ行きの事は徐々に話題から消えて行った。
「…珍しな~」
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