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授業中、西門は遠くの席で机に突っ伏している東雲の姿を見るようになった。後ろの方の席の岡本も同じだ。西門の視線を追った井藤が隣の席からすかさず耳打ちする。
「何が。あ、ああ…それがな…。なんや難しい模試が近いんやって。仙頭が言うとったで」
そっか。勉強も体力勝負のトコあんのやな。賢コ同士で情報交換すんのも大事やしな。東雲は東京行きたがっとるから東大でもめざしとんかな~。わいがNBA行くんと同じぐらい行けそうやもんな。
そう納得したものの、西門はやはり気になって黙っていられなくなった。
ざわざわと大勢がひしめく学食の争奪戦は相変わらずだが、東雲もようやく慣れて来たらしく要領よく座れるようになってきた。
壁の隅の席でラーメンと半チャーハンとかつ丼を広げた西門はそれだけで結構な場所を占領している。
「東雲。最近、仙頭やと仲ええんやな~。仲直りしたんか?」
東雲は欠伸をしかけていた口元をぱくん、と閉じた。様子をうかがうようなちょっとした上目使い。
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