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米粒を飛ばしながら力説する西門を、東雲はやんわりと遮った。
「いや、ありがとう。でも西門だってインターハイに向けての練習が大変だろ? この間の試合はすごくカッコよかったよ。バンバン相手の選手を抜いていってさ」
すいすいと手を泳がして見せた東雲の目が柔らかい。とたん、同じように西門の目じりが下がった。
「そやったわ~。東雲も応援に来てくれたもんな~。以前の練習試合の時よりさらに上手なったやろ!」
「うんうん」
「あ、そうそう。東雲は夏休みはガッコ来んの?」
西門はもちろん、朝から夕までインターハイへの練習に明け暮れるだろう。東雲はちょっと首を傾げた。
「…わかんないな。図書室に来るかもしれないけど」
「ほな、来たら知らせてや。一緒に帰ろな!」
東雲がどこか頼りなさそうに首を傾げた。次の週から、2年生の夏休みは始まった。
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