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時おり、東雲の姿は学校にあったり図書館にあったり。西門も練習の合間にラインをしてみるものの、インターハイの県予選で優勝したバスケ部は練習試合を重ねていて結構忙しかった。
8月頭の暑い一日。西門はいつものように部活を終え、夕方、リュックを背に校門を駆けだした。
「おお~い! 西門~!」
後ろから追っかけて呼び止めたのは、同じクラスの阿部だ。
「お~。なんや~。野球部も練習、終わったんかいな」
所どころ乾いた土にまみれて薄茶色く変色したユニフォームのままだ。
「今日、夜な、何か予定あるか?」
背の高い西門は並んだ阿部を見下ろした。
「別にないけど…。よう焼けとるな~。さすが野球部や」
バスケット部と違って野球部の練習はグラウンドだ。真っ黒な顔と五分刈りの頭が部一の俊足を誇る阿部らしい。
「これから難波にバッシュ見に行くんや。買うかどうかは分からんけどな」
楽しみやな~。東雲と一緒ならもっとよかったんやけど。まあしゃ~ない。忙しいんやろな、ラインに既読つかんし。
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