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「野郎バッカじゃ敵わんわ。女子限定の店にしとくわ」
わ~ははは、栗栖らしいわ~。と笑い声が上がる。
「なんやなんや! 聞いてへんで~! わいもわいも!」
カバンをその辺に放り投げて西門がホットプレートに突進する。
「ちょうど腹減ってたんや~!」
もう、満面の笑みだ。けれど、覗き込むと生焼けのお好み焼きの上から、荒く刻まれたキャベツがツンツンと顔を出している。
「なんや、このキャベツ」
「なんやってなんよ!」
制服にエプロンをした女子高校生がひとり、皆に交ざっている。下手くそな化粧を施しているものの、地は頬の膨らんだあどけない顔だ。茶髪の髪をおだんごに高く結んでいる。
「お母ちゃんが手ぇ利かんから、あたしが刻んであげたんやで!」
ふくれっ面をするとますます頬が膨らんだ。大柄な男子生徒の中だから背格好は目立たないが、声は頭の上からキンキン響く。慌てたように周りが手を合わせたり褒めたりだ。
「ありがとうな! モモちゃん!」
「キャベツはこのぐらいが歯ごたえあってうまいよな!」
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