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うろうろと歩き回る東雲を仙頭が見上げた。
「え?」
や、家賃? そんなの知らないけど…。
東雲は驚いて足を止めた。まじまじと面長の顔を見下ろす。真顔だ。
「〇町のオートロックの分譲マンション、ファミリー用、築浅だから…」
顎に指を当て天井を見上げながら算段してる岡本にも呆れて、思わず東雲は声を上げた。
「いやいやいや、知らないよ。家賃なんて。大体、そんなこと、聞く?」
「当たり前やで。普通やん」
言い切る岡本。
「ホンマにな~。何気にセレブやな、東雲は。知らんけど」
いや、セレブとかそういう問題じゃなくて…。かなりな個人情報だろ、それ。知らんなら言うな!
ガクーっと力が抜けそうになった東雲は近くのソファーの角に座り込んだ。
「気ぃ遣って、紙コップと紙皿と割りばし持って来たんやで。ゴミはここな」
ガサガサとゴミ袋を広げる岡本。妙に気のつく男でもある。
けれど、東雲の頭の中は西門の反応で一杯だった。
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