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あ~、やっぱ一言…。今度、顔合わせたら何て言おう…。でもなあ、言いづらいし…。
東雲は天井を仰いだ。
「東雲! 聞いてるんかいな~」
「…聞いてるよ」
2人にそう言われて、東雲はようやくテレビに向き合った。大きな画面に映るのは番組の合間のコマーシャルだ。若い女優が思い切りよくペットボトルの水を飲み干している。
何か、喉乾いたな…。俺、緊張してる?
「思い出すな~。東雲が、俺んトコいきなり来てから、チョー忙しい日々やったわ」
仙頭が肘で東雲を小突いた。そう言われて、東雲もその日のコトを思い出していた。
あれは、西門とスピカを見た夕刻だった。
バスケ留学のチャンスは、今だけやない。きっと、次のチャンスがあるねん。西門は潔く笑っていたけれど、東雲の気持ちは晴れなかった。
西門はいつも前向きで凄いなあ…。でもなあ…。問題はお金だ。
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