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そんなんアカーーン! 東雲が頑張った大事な金やんか! 次のチャンスがあるって。なんや、信じてないんか? 絶ー対、大丈夫やから!!
すぐ側で大声が聞こえたような気がして、東雲は思わず耳に手をやった。
「もう少し、潤なりの応援を、考えてみたらどうかな?」
ゆったりと再考を促したのは父親の顔だ。
「……。」
…正論だ。さすが、一流商社マン。つーか、理屈じゃ勝てないよなあ。クラスの連中みたいに関西弁でワーッと屁理屈でも畳みかければ、ちょっとは違うのかなあ…。
小さくため息をついて、東雲は塾のパンフレットをゴミ箱に投げ捨てた。
次の日の朝になっても東雲の気分は晴れなかった。
なんか、気分が重い。こういうのには覚えがある。せっかく受かった高校だったけど…。妙にライバル視するヤツとか、成績のことばっかり言う先生とか…。クラスの空気が重くて、つまらなかったっけ…。西門はどうして笑っていられるのかな…。本心はきっと辛いだろうに。
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