第12話 ネガティブ's転校生in熱血クラスメート×2

8/17
前へ
/286ページ
次へ
 昼休み、数人の生徒が東雲に声をかけてきた。 「な~、東雲、この脱出ゲームしたことある? ヒント分かれへん?」 「次の物理の宿題、こんで()うてる?」  俺は攻略サイトでも正解集でもないっての。しょうがないな~も~。  そう思うものの、ここへきてから結構面倒見のよくなった東雲は一応、いつも目を通してみる。 「悪いけど、今日はちょっと用があるから…」 「ほな、後で見てや~」  騒がしい教室を抜け出して体育館へ向かう。北側の裏は自転車置き場が並ぶ。その向こうの大きな木の下に人影が見えた。 「おー東雲! こっちこっち」  大きく手を振ったのは阿部だった。さっき教室で会ったばかりのニキビ面だ。 「遅かったやん。(けぇ)ーへんかと思たで」  と、不満そうに口を尖らせたキツネ目の井藤。  なんだ? なんで、こんなトコで? いつも教室でバカ話しているのに。  自転車置き場と歩道との境に、コンクリートの低い杭が並び太い鎖が繋がれている。最後は大きな木の側で止まる。その影に集まった3人。
/286ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加