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「ごめん。いろいろ呼び止められてさ。で、話って何?」
東雲が答えると、なぜか阿部が腰に両手を当てて胸を張った。
「もちろん、西門のバスケ留学のことやがな。実は、俺と井藤でいろいろ考えたんや」
「え?」
うんうんと頷いた井藤に、東雲は目を瞬いた。
何? 何だよ。いっつも能天気なくせに。真面目な顔して。
東雲はちょっと離れると近くの杭に腰を降ろした。
「あいつん家な、今、店の立て直しで結構な金がかかるから、今回はお流れっちゅーこって西門も納得したらしいわ」
「うん、それは昨日、本人から聞いたよ」
東雲の視線が落ちた。西門の笑顔を思い出して小さく胸が疼く。
「そこでや!」
叫んだのは井藤だ。
「俺らで、行かせたろう思てんねん」
「ええっ!?」
マジか!? そんなことが?! どうやって?!
東雲は驚いてふたりの顔を交互に見上げた。
「まー、大金は俺らには無理っぽや」
「けど、金しか方法がないってわけやない」
「ウチのガッコ式のチャンスがあるやんか!」
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