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「そりゃあ、確かに特例中の特例や。ほなけど、可能性があるんやったらやらん手はないわ」
「確かに…」
「俺らもメチャクチャ点数を集めて、それを手に、理事長に西門のバスケ留学のバックアップを頼むんや!」
二人の賢明な説明に、何か熱いものが東雲の身体の中からじわっと沸いた。
「そっか…。…二人とも、西門のことを気にしてたんだね…」
良い奴らだな…。何にもできないこと、悔しいのは俺だけじゃなかったんだ。
「そりゃ~そやろ」
阿部がちょっと困ったように、五分刈りの頭を掻いた。
「俺ら、一年の時から西門とは同じクラスなんやけどな…」
少々声のトーンを落とすと、二人は東雲の周りの杭の一本ずつに腰を降ろした。
「俺、地元は奈良の方のO阪なんや。親父がジュニアの監督してて、兄貴も野球やってて、もちろん俺も。強いトコで野球した〜て、スポ推と寮のあるこのガッコに来たんや」
関西の地理に疎い東雲でも分かるように、井藤がスニーカーの足先で地面にO阪府の形を描いた。そして、この辺な、と右端を指す。
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