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さすがサッカー部、足先が器用だな~。O阪府の地図、ちゃんとしてるもんな。
「けどな、やっぱりちょっと…寂しいやん? 練習も先輩も勉強も、キっツイしな~」
阿部の視線が地図に落ちた。
「そやけど、阿部はまだレギュラーや」
井藤が割って入った。
「サッカー部は人数多いし、俺なんかMFいうてもBチームやで。俺は寮やないけどな」
Bチーム? 予備のチームなのかな。口を尖らせるとホントにキツネみたいだぞ、井藤。
ニキビで凸凹した頬を掻きながら阿部が続けた。
「クラスやって、賢コ組の奴らは付き合い悪いし…」
東雲は二人を交互に見ながら、意外な気がしていた。
二人は二人なりにいろいろあるんだ…。スポーツ推薦も楽しいばっかりじゃないんだな。そういえばクラスはそれなりに平和だけど、俺だっていまだ知らない奴も居るもんな…。それにしても、阿部はニキビ潰すのやめた方がいいよ。
「けどな」
ニッと笑って阿部が身を乗り出した。
「西門はちゃうやん」
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