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「そや、西門、あいつはいっつも明るうて、絶対メゲへん」
井藤が後を継いだ。不満そうだった二人の表情がパッと変わっていた。
「確かに、俺と違ごて実力はピカイチや。そやけど、西門見てたら俺も負けられへんって思うんや。こうやって、バンバン人のこと遠慮せんで叩いてな」
阿部が笑いながら手を振って、西門の仕草を真似た。
「元気出せえ! 暗い顔しててもエエ事ないで、旨いモン食いに行こ! ってな」
二人は顔を見合わせてあはは、と笑った。
「あの顔見たら、悩むんアホらしなるやろ?」
「うん、確かに。それは分かるよ!」
東雲は即答していた。弾んだ声だった。
そうなんだ。それが西門のすごいトコなんだ。簡単にメゲたりしない。人のせいにもしない。何があっても、自分の力を信じてる。それが西門の強さだよ。
「そんなコト、何べんもあってん」
「俺ら、いっつも西門に背中押されてんねんな」
へへっと笑って、阿部が鼻の下を指で擦った。井藤は足でボールを蹴る仕草をする。照れてるらしい。
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