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耳ざとい真鍋の一声に周りからどっと笑い声が上がる。
「ほなかて、センセ、出席番号で当ててるやん~。次、俺やろ~?」
「ほな、リクエストに応じて問3は佐々木な」
え~、藪ヘビやんか~、と佐々木の悲鳴。また、クラスに笑い声が響いた。
やばい。その次は自分じゃんか。
東雲は慌てて教科書を見直したが、しばらくして終わりのチャイムが鳴った。担任が引き続きホームルームを始めたが東雲の耳には入っていなかった。頭の中は昼休みの出来事で一杯だった。
礼が済むとそれぞれが忙しく動き始める。部活へいく連中が多い。その中を東雲は隣のクラスへ向かった。
「お、東雲。何か用か~? どしたんや、硬い顔して」
ドアを出ようとする栗栖に軽くぶつかる。見下ろして来た相手にそう指摘されて彼は思わず頬を触った。
俺、緊張してるのかな。まあ、柄にもないことしようとしてるんだから、しょうがないよな。
「あ、あのさ。仙頭くん、いるかな」
「へ? 仙頭? 珍しな~。お~い! 仙頭、客やで~」
首を傾げたものの栗栖は特に詮索することなく振り返って大声で叫んだ。
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