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目を大きく見開いたかと思うと今度はパチパチと何度も瞬く。
ハトが豆鉄砲を食らった顔ってこういうのを言うんだろうな~。こいつも結構、背が高いな。
東雲は眼鏡の縁を中指で持ち上げた。
「…実は、クイズ番組に出たいと思ってるんだ」
「クイズ番組?!」
「しっ! まだ、誰にも言ってないんだ」
東雲が声を潜め少し屈み込んだ。それに釣られて仙頭も顔を寄せて小声で口走る。
「何でまた? それに何で俺に…?」
お、脈があるぞ。
東雲は相手の動きから咄嗟にそう判断した。そうなれば話は早い。
「前々から、高校生活の記念に一度クイズ番組ってのに出てみたかったんだ。それは東京に居た時からの夢だったんだ。でも、大抵、高校生向きのクイズって何人かで組むだろう? その相手がなかなか見つからなくて…」
東雲は少々首を振ってからもったいぶって眉を寄せた。
「やっぱり、組むとなったら、俺がリスペクトできるような相手じゃないと…」
「…リスペクト…やて?」
お、目つきが変わったな。そうこなくっちゃ。
東雲はまた中指でくいっと眼鏡を上げた。
「そりゃそうだよ」
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