第13話 頭でっかち’s転校生in賢(かし)コトリオ

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「自分、学年一位だったくせに、よ~言うわ」 「いやいや、俺は勉強だけだから」  東雲はすうっと息を吸った。  伊達(だて)にヒョウ柄母さんの買い物を見学してたわけじゃないぞ。  量販店でのシーンが頭を掠る。 「君の噂を聞いたよ。とっても博識で何でも知ってるって。しかも、皆に親切でいろいろ教えてくれるし、ホントに頼りになるし、信用できるって。いやいや、謙遜しなくていいよ。それとな~く周りに君の評判を聞いた時も、皆なんとな~くリスペクトしているような顔つきだったよ。俺にはそういうトコがないし、転校生だし、まだ知り合いも少ないし。でも、長年の夢を諦めたくないし。だから、仙頭くんを見込んでお願いしたいんだ」  お、頬が緩んで赤くなってきたじゃん。こんな風に言われて悪い気はしないだろうな~。けど、頭いい奴が必要なのは確かだしな。  そんなことを計算しながら東雲は頭を下げた。 「ふ~ん、クイズなあ…。ひと夏、潰れるよなあ…」 「俺と一緒は気が進まない?」  う~ん、と腕を組んで考え込んだ仙頭の胸ポケットで、シャープペンについた女の子の二頭身フィギュアが揺れた。
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