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東雲は仕方なく、もう一度丁寧に説明を繰り返した。
「よ~わかったわ、東雲。センセよりわかりやすいわ。また教えてな。ありがと」
うんうん、と西門は腕組みして頷いた。
「ホントに? ホントに解った? じゃあ、これやってみて」
疑り深い…もとい、東雲は慎重な性格だ。類似問題を指差す。
「ええで」
案外、あっさりと西門が問題を解き始めた。少し時間がかったものの解答までたどりつく。ほれ、と胸を張って自慢げに西門はノートを差し出した。
「……」
東雲はノートを受け取ると赤いペンを取った。
「最初のここが…違うんだ。使うのはこっち…」
まあ、これくらいは想定内だよな。公式さえ合ってれば正解だもん。ここから先ができるなら、言うほどバカじゃないと思うけど…。
〇で囲んで、数式を当てはめて見せる。東雲は結構、根気強い性格でもある。
ん? なんか…違う視線を感じるような…。何を見てるんだろう…?
登校してきた生徒たちが、物珍しそうに二人を眺めている。それくらい、西門が真面目に勉強する姿が珍しかったのかもしれない。
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