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へぇ、案外可愛らしい趣味なんだな。
ピンク色のフィギュアに東雲はそんなことを考えた。
「それとも、やれる自信がない?」
「…自信? ないはずないやろ!!」
おっと、血相変えて怒鳴るなんて結構単純だな、コイツ。
けれど、東雲に魂胆があるのを感じるのか、仙頭は考え込んだままだ。大きめの口はへの字に曲がっている。
よし、もうひと押し。手の内を少しは見せないとな…。
「実を言うとさ。君が勝負に来た時とっても驚いたんだ。転校したての生徒にそんなことするかなって。でも、点数システムっていうのがこの学校にあるって、後で聞いて納得がいったんだ。仙頭くんはクラスのために頑張ってたんだろ。案外良い奴なんだなって思ったんだ。それはホントだよ」
東雲はちょっと照れて視線を逸らした。正直に本音を話すことに慣れていない。西門に少しずつ語ったことが役に立ったような気がした。
仙頭はしばらくまじまじと東雲の顔を見ていたが、やがて鷹揚に頷いた。
「よ~わかったわ。しゃ~ないな。そないにまで頼まれて断ったら男やないわ。エエで。クイズぐらい」
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