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「それ前にも聞いた。合言葉かなんか?」
「ちゃうわ! いや、そうでないとも言い切れん。新喜〇って知ってるやろ?」
「知らない」
「えええ? 何やて?!」
ドアを開けたまま言いあっている二人の元に、小柄な生徒がひとり現れた。天パーのふわふわとした柔らかそうな髪にきょとんとした大きな目で見上げている童顔の男子生徒。
「誰や、ドアで不毛な漫才しとんのは。仙頭に…東雲? 珍しいコンビやなあ」
あ、確かに顔見たことある。席が近くになったことはないけど…。
「お~、岡本。ちょい話あんねんけど…。ええか?」
「ま~、入れや。今は俺ひとりやから」
「おう、すまんな」
仙頭は知り合いらしく遠慮なく部屋へ足を踏み入れる。東雲も後に続いた。6畳ほどの狭い部屋の中、ごちゃごちゃと物が一杯だ。中央の大きな机にはクイズ百選、なぞなぞ辞典、ヒラメキの条件、なんて本が一杯に積まれている。周りの本棚にも本はもちろん、いろんなグッズや用途のよくわからない小物が詰め込まれている。傾いたパイプ椅子に勝手に座った仙頭は話し始めた。
「実はな…」
仙頭、何か妙に嬉しそうだな…。
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